□ 建物に残された魅力的な家具やミシン
私はお店のビルを旧店主から譲り受けたクライアント(以下オーナーさん)からオフィスデザインの相談を受けたました。リノベーションという建築プロジェクトは、建主が変わるタイミングでよく起こります。これがその瞬間かと私は改めて実感しました。オーナーさんとさっそく現場を見に行くと、そこには昭和の面影残るたくさんの家具や雑貨が残されていました。建物は2階建てとなっていて、1階をオーナーさんの事務所スペースとして使い、2階スペースを当時私の事務所があった仲小路ビル地下のシェアオフィス「MAG」のようななスペースをつくれないかとのことでした。残されていた家具たちは、建物や店主、訪れるお客さんとともに長い歴史を歩んできました。木製ショーケースには陶器、デスクにはアクセサリーなどが陳列していました。数多くのミシンとアイロンが置かれているのも印象的でした。ミシンは足でこいで動かすものであり、アイロンは石炭を中に入れて使うものでした。もはやその姿は飾ってながめていたいアンティークでした。このまま使われないのであれば廃棄にするしかないそんな状況でした。
□旧中心市街地にあった創業99年の老舗洋服店が閉店
□建物に残された魅力的な家具やミシン
□オフィスのデザイン提案と設計事務所移転
□ミシンの行き先
□生まれ変わった建物と新たな出会い