□ 生まれ変わった建物と新たな出会い
建物は「ガレリア大町」として生まれ変わり、私は仕事の拠点をこの場所に移しました。自分の設計事務所を立ち上げて2年。自らデザインしたオフィス空間に通勤することが実現しました。
現在この建物の2階ギャラリーには、1台残されたミシンが展示され、その脇にあるパネルにはこの建物についての歴史が綴られています。私はこの建物に訪れたお客さんにはできるだけこの建物の歴史を展示物といっしょに見ていただきながらお伝えしています。
リノベーションというものは、建物に残された歴史・文化などの価値を掘り起こし、そこに新しい息を吹きかけるものです。しかしそのすべてを残すことはできません。何を残してどこを新しくすればいいのか。この見極めも大切な作業であることを設計者として痛感したプロジェクトでした。
オフィススペースには、私の設計事務所と地元にセカンドオフィスをもうけたベンチャー企業が入居しました。このような出会いも多いに私の刺激になりました。今では英会話塾が入り、子供たちの英語の発音練習がときどき聞こえてきます。
夏になると、秋田の伝統行事「竿灯祭り」が行われ、建物の前面道路には、毎年大通りに向かって竿灯が移動します。ラウンジ空間から、その風景をオーナーさんとビールを飲みながらゆっくりとながめるのは最高でした。変わらない風景と、変わっていく風景を自分なりにとらえながら、これからもこの場所で働いていきたいと思っています!
□旧中心市街地にあった創業99年の老舗洋服店が閉店
□建物に残された魅力的な家具やミシン
□オフィスのデザイン提案と設計事務所移転
□ミシンの行き先
□生まれ変わった建物と新たな出会い